2025年のGマーク申請について解説します。



※2025年のGマーク申請については現時点で全てが決まっているわけではありません。変更点については随時修正していきます。この記事は2024年申請時の資料を元に作成しています。

Gマークとは全国貨物自動車運送適正化事業実施機関(全日本トラック協会)が認定する安全性優良事業所認定制度のことです。認定は会社ごとではなく事業所ごとに認定されます。

簡単にいうと「あなたの事業所はちゃんとしているから条件面で優遇します」ということが安全性優良事業所として認定されるという意味です。

【安全性優良事業所に認定された時の優遇措置】

安全性優良事業所に認定されると下記のようなインセンティブが付与されます。

国土交通省違反点数の消去通常、3年間となっている違反点数の付与期間について、違反点数付与後2年間違反点数の付与がない場合、当該違反点数が消去されます。
IT点呼の導入対面点呼に代えて、国土交通大臣が定める設置型又は携帯型のカメラを有する機器による営業所間等での点呼が可能となります。
点呼の優遇2地点間を定時で運行する形態の場合の他営業所における点呼、同一敷地内に所在するグループ企業間における点呼が承認されます。
安全性優良事業所表彰安全性優良事業所の認定を、連続して10年以上取得しているなど、さらに一定の高いレベルにある事業所が表彰されます。
基準緩和自動車の有効期間の延長基準緩和自動車が適切に運行されている場合、緩和の継続認定において、有効期間が無期限に延長(通常4年間)されます。
特殊車両通行許可の有効期間の延長特殊車両の通行許可について、一定の要件を満たす優良事業所の車両の場合、許可の有効期間が最長4年間まで延長(通常最長2年間)されます。(トレーラ連結17m 超は2年に延長)
全日本トラック協会助成の優遇都道府県トラック協会の会員事業者に対する助成事業について、予算の範囲内で各種優遇措置が受けられます
損保会社等保険料の割引損害保険会社及び交通共済の一部では、運送保険等において独自の保険料割引を適用しています。
引用元:全日本トラック協会(以下同様)

                 

またこれらに加えて特定技能外国人を雇用する場合は安全性優良事業所として認定されていることが必要になります。特定技能外国人に関する記事はこちらをご確認ください。

【申請受付期間】

それではどのような条件を満たせば安全性優良事業所として認定されるのでしょうか?

まず、気をつけなければならないのは申請受付期間です。
申請期間はいつでもできるという訳ではなく期日が決まっております。

2024年のWeb申請受付期間は7月1日~14日とされており、例年同じような期間が予想されます。

後述しますが、Gマーク申請は一長一短でできるものではありません。そのため申請期間はあくまで申請するだけの期間であり、肝心の書類作成などはその前に終えておく必要があります。

【申請資格】

次に申請資格についてです。G-マーク申請をするためには次のような申請資格をクリアしなければなりません。

まず、「事業開始後(運輸開始後)3 年を経過していること。」とありますので、一般貨物自動車運送事業許可を取ったばかりの事業者は申請資格がないということになります。

まずは、3年で適切な運行管理体制を整えてからG-マークを申請してくださいね、というような意図があるかもしれません。

申請基準日(2025年7月1日)現在で以下の事項の全てを満たす事業所とします。

①事業開始後(運輸開始後)3 年を経過していること。営業所が開設され、事業を開始してから3年を経過していること。

②配置する事業用自動車の数が5 両以上であること。

③a.虚偽の申請、その他不正な手段等(以下、「不正申請等」という。)により申請の却下又は評価の取消しを受けた事業所にあっては、当該却下又は取消しに係る申請年度後2 事業年度を経過していること。
b.不正申請等により認定の取消しを受けた事業所にあっては、取消し後2年を経過していること。

④認定証、認定マーク及び認定ステッカー等(以下、「認定証等」という。)の偽造もしくは変造又は不正な使用により是正勧告を受けた事業所にあっては、当該是正勧告の履行状況が確認され、及び偽変造等に係る認定証等の提出を受けた日後3年を経過していること。

【評価項目】

次に評価項目についてです。安全性優良事業所として認定されるためには下記の認定要件をクリアしなければなりません。

解説;①~③の合計が100点なのでまずは全体で80点以上取る必要があります。

また①~③それぞれに基準点が設けられているのでそれ以上の点数を取らなければなりません。例えば①と②はそれぞれ配点が40点ずつなので①と②で満点を取れれば、全体で80点以上取ることができます。しかし、基準点の側面でみると③の基準点12点以上を取れていないのでこの場合は認定されません。

つまり①~③の中からバランスよく点数を取らなければなりません。

評価項目
①安全性に対する法令の遵守状況(配点40点) (基準点数32点)・地方実施機関の巡回指導結果 ・運輸安全マネジメント取組状況
②事故や違反の状況(配点40点) (基準点数21点)・重大事故・行政処分の状況
③安全性に対する取組の積極性(配点20点) (基準点数12点)※・安全対策会議の実施、運転者の教育などの取組の自己申告事項

※③はさらにグループごとに基準点数があります。

認定要件
1)上記①〜③の評価点数の合計点が80 点以上
2)上記①〜③の各評価項目において上記の基準点数以上
3)上記③の各自認項目グループにおいて、すべてのグループで得点していること
4)法に基づく認可申請、届出、報告事項が適正になされていること
5)社会保険等の加入が適正になされていること

【①.安全性に対する法令の遵守状況(配点40点・基準点数32点)】

まずは安全性に対する法令の遵守状況から得点しなければなりません。基本的には巡回指導で確認されるような項目です。申請資格で運輸開始から3年の期間を置いたのは、まずは巡回指導をクリアできるレベルであることが求められているようです。

また2024年の対象期間が2023年7月1日〜 2024年10月31日とされているので、2025年申請分は2024年7月1日〜 2025年10月31日くらいと予想できます。つまり、この記事執筆時の2024年10月現在も対象期間になりますのでご注意ください。また加点は巡回指導時にされるので巡回指導後に改善されても加点はされません。つまり日頃から準備をしておかないとグループ①の基準をクリアすることができません。

 

中項目小項目配点
1.事業計画等(1)乗務員の休憩・睡眠施設の保守、管理は適正か1
2.帳票類の整備、報告等(1)事故記録が適正に記録され、保存されているか1
 (2)運転者台帳が適正に記入等され、保存されているか1
 (3)車両台帳が整備され、適正に記入等されているか1
3.運行管理等(1)運行管理規程が定められているか1
 (2)運行管理者に所定の講習を受けさせているか1
 (3)事業計画に従い、必要な運転者を確保しているか1
 (4)過労防止を配慮した勤務時間、乗務時間を定め、これを基に乗務割が作成され、休憩時間、睡眠のための時間が適正に管理されているか3
 (5)過積載による運送を行っていないか3
 (6)点呼の実施及びその記録、保存は適正か3
 (7)乗務等の記録(運転日報)の作成・保存は適正か1
 (8)運行記録計による記録及びその保存・活用は適正か1
 (9)運行指示書の作成、指示、携行、保存は適正か1
 (10)乗務員に対する輸送の安全確保に必要な指導監督を行っているか3
 (11)特定の運転者に対して特別な指導を行っているか2
 (12)特定の運転者に対して適性診断を受けさせているか2
4.車両管理等(1)整備管理規程が定められているか1
 (2)整備管理者に所定の研修を受けさせているか1
 (3)日常点検基準を作成し、これに基づき点検を適正に行っているか1
 (4)定期点検基準を作成し、これに基づき、適正に点検・整備を行い、点検整備記録簿等が保存されているか3
5.労基法等(1)就業規則が制定され、届出されているか1
 (2)36協定が締結され、届出されているか1
 (3)労働時間、休日労働について違法性はないか(運転時間を除く)1
 (4)所要の健康診断を実施し、その記録・保存が適正にされているか3
6.運輸安全マネジメント(1) 運輸安全マネジメントを的確に実施し、輸送の安全に関する計画の作成、実行、評価及び改善の一連の過程を円滑に進めているか2
小計40

<点数の計算方法>
① 項目毎に、巡回指導結果が「適」の場合は加点し、「否」の場合は加点しません。なお、巡回指導後に改善されても加点しません。
②事業所により該当しない項目がある場合、当該項目は加点します。
③巡回指導時に書類不備等により判定できなかった項目は加点しません。

【②.事故や違反の状況(配点40点・基準点数21点)】

次に事故や違反の状況から得点しなければなりません。自動車事故報告規則第2条各号に定める事故や、行政処分の累積点数の有無などから評価されます。基準点数が21点になっているのでどちらかが0だと安全性優良事業所として認定されるのは難しいでしょう。例えば過去3年以内に自動車事故報告規則第2条各号に定める有責となる事故を起こしている場合は事故の実績の配点は原則0になるので基準点数を満たしません。

中項目小項目配点
1.事故の実績2025年11月30日から過去3年間に、事業所の事業用自動車が有責の第一当事者となる、自動車事故報告規則(国土交通省令)第2条各号に定める事故がないか20
2.違反(行政処分)の実績2025年11月30日において、事業所に、貨物自動車運送事業法に基づく行政処分の点数が付加されていないか。また、点数がある場合には、当該事業所に係る行政処分の累積点数は何点か20
小計40

<点数の計算方法>
1.事故の実績:上記に該当する有責の第一当事者となる事故がある場合は0点、無い場合は20点を加点します。
①有責となる第一当事者の事故がある場合は認定されません。
② 運輸支局に自動車事故報告書を提出している場合は、その写しを必ず提出して下さい。申請後に自動車事故報告書を提出した場合や提出もれが判明した場合は、速やかに全国実施機関にその写しを提出して下さい。
③ 当該事故に関して自動車事故報告書以外の過失の有無がわかる関連資料があれば、合わせて提出して下さい。申請後に関連資料が確認された場合は、速やかに全国実施機関に提出して下さい。

2.違反(行政処分)の実績: 累積点数が20 点以上の場合は0 点、20 点未満の場合は、(20 点)−(累積点数)で求めた得点を加点します。

【③.安全性に対する取組の積極性(配点20点・基準点数12点)】

最後は安全性に対する取組の積極性から得点する必要があります。得点は下記の4グループすべてから獲得しなければなりません。

例えばグループ1からは最低1項目1点以上、グループ2は最低1項目2点以上、グループ3は最低1項目1点以上、グループ4は最低1項目1点以上を取らなければなりません。ただし、これだと合計5点にしかならないので基準点数12点に足りません。残りの7点をどこのグループから得点するかは申請者ごとに選択することができます。

対象時期:2025年7月1日現在
※ 2025年7月2日以降に実施されたものは認められません。

自認項目配点
グループ1 運転者等の指導・教育((1)~(4)から最低1項目・最大3項目選択 各3点計9点)
(1)自社内独自の運転者研修等の実施(50%未満は1点)3(1)
(2)外部の研修機関・研修会への運転者等の派遣(選任運転者等以外は1点)3(1)
(3)定期的な「運転記録証明書」の⼊⼿による事故・違反実態の把握に基づく指導の実施3
(4)安全運⾏につながる省エネ運転の実施とその結果に基づく個別指導教育の実施3
グループ2 輸送の安全に関する会議・QC 活動の実施((1)~(3)から最低1 項目・最大2 項目選択 各2点計4点)
(1)事業所内での安全対策会議の定期的な実施2
(2)事業所内での安全に関するQC 活動の定期的な実施2
(3)荷主企業、協⼒会社等との安全対策会議の定期的な実施2
グループ3 法定基準を上回る対策の実施((1)~(4)から最低1項目・最大2項目選択 各2点計4点)
(1)特定運転者以外の運転者への計画的な適性診断(⼀般診断)の実施2
(2)効果の高い健康起因事故防止対策(健康診断結果のフォローアップ・脳検査・心電計・SAS)の実施2
(3)車両の安全性を向上させる装置の装着(ドライブレコーダー、バックアイカメラは1点)2(1)
(4)ドライバー時間外労働時間短縮の取組の状況2
 グループ4 その他((1)~(6)から最低1項目・最大3項目選択 各1点計3点)
(1)健康起因事故防止に向けた取組(健康診断結果のフォローアップ・脳検査・心電計・SAS 以外)1
(2)輸送に係る安全や環境に関する認証や認定の取得1
(3)国が認定する第三者機関による運輸安全マネジメント評価の受審     (上記(2)ISO 等安全や環境に関する認証の取得から分離)1
(4)過去3年間以内の行政、外部機関、トラック協会による輸送の安全に関する表彰の実績1
(5)リアルタイムGPS 運行管理システムなどの先進的運行管理システムの導入1
(6)自社内独自の無事故運転者表彰制度又は省エネ運転認定制度の活用1

【まとめ】

Gマーク申請は①の安全性に対する法令の遵守状況では日頃の適切な運行管理体制が求められます。また③の安全性に対する取組の積極性では定期的な会議や研修などが求められます。冒頭でも記載しましたが、これらの体制を構築するのは一長一短では難しく、申請日の半年~1年前くらいから準備するのが妥当です。

Gマーク申請に必要なサポートは当事務所で承っているのでお気軽にご相談ください。

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