事故を起こした!どうする?事故の記録と報告義務

一般貨物自動車運送事業者が事故を引き起こしたときは日報などの乗務等の記録に記録すると同時に事故の記録というものを別途つけなければなりません。

また、一部の事故には記録だけはなく報告義務などもあります。今回は一般貨物事業の事故について解説したいと思います。

貨物自動車運送事業法の重大な事故とは

まず、基本となるのは貨物自動車運送事業法第24条です。ここには一般貨物自動車運送事業者が重大な事故を引き起こしたときは、遅滞なく、国土交通大臣に届け出しなければならないと記載されています。

それではこの重大な事故とはどのようなものを指しているのでしょうか?

答えは自動車事故報告規則第2条(定義)に記載されている事故のことをいいます。

一般貨物自動車運送事業者は、その事業用自動車が転覆し、火災を起こし、その他国土交通省令で定める重大な事故を引き起こしたときは、遅滞なく、事故の種類、原因その他国土交通省令で定める事項を国土交通大臣に届け出なければならない。

貨物自動車運送事業法 第24条

報告と記録しなければならない事故について

次に自動車事故報告規則第2条の事故の定義をみてみます。ここに記載されているような事故が、貨物自動車運送事業法の重大な事故ということになります。

この重大な事故を引き起こしたときは、事故の記録だけではなく国土交通大臣に報告が必要になります。

この省令で「事故」とは、次の各号のいずれかに該当する自動車の事故をいう。

一 自動車が転覆し、転落し、火災(積載物品の火災を含む。以下同じ。)を起こし、又は鉄道車両(軌道車両を含む。以下同じ。)と衝突し、若しくは接触したもの
二 十台以上の自動車の衝突又は接触を生じたもの
三 死者又は重傷者(自動車損害賠償保障法施行令(昭和三十年政令第二百八十六号)第五条第二号又は第三号に掲げる傷害を受けた者をいう。以下同じ。)を生じたもの
四 十人以上の負傷者を生じたもの
五 自動車に積載された次に掲げるものの全部若しくは一部が飛散し、又は漏えいしたもの
イ 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第二条第七項に規定する危険物
ロ 火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)第二条第一項に規定する火薬類
ハ 高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)第二条に規定する高圧ガス
ニ 原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第三条第二号に規定する核燃料物質及びそれによつて汚染された物
ホ 放射性同位元素等の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十七号)第二条第二項に規定する放射性同位元素及びそれによつて汚染された物又は同条第五項に規定する放射線発生装置から発生した同条第一項に規定する放射線によつて汚染された物
ヘ シアン化ナトリウム又は毒物及び劇物取締法施行令(昭和三十年政令第二百六十一号)別表第二に掲げる毒物又は劇物
ト 道路運送車両の保安基準(昭和二十六年運輸省令第六十七号)第四十七条第一項第三号に規定する品名の可燃物
六 自動車に積載されたコンテナが落下したもの
七 操縦装置又は乗降口の扉を開閉する操作装置の不適切な操作により、旅客に自動車損害賠償保障法施行令第五条第四号に掲げる傷害が生じたもの
八 酒気帯び運転(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第六十五条第一項の規定に違反する行為をいう。以下同じ。)、無免許運転(同法第六十四条の規定に違反する行為をいう。)、大型自動車等無資格運転(同法第八十五条第五項から第九項までの規定に違反する行為をいう。)又は麻薬等運転(同法第百十七条の二第三号の罪に当たる行為をいう。)を伴うもの
九 運転者の疾病により、事業用自動車の運転を継続することができなくなつたもの
十 救護義務違反(道路交通法第百十七条の罪に当たる行為をいう。以下同じ。)があつたもの
十一 自動車の装置(道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第四十一条第一項各号に掲げる装置をいう。)の故障(以下単に「故障」という。)により、自動車が運行できなくなつたもの
十二 車輪の脱落、被牽けん引自動車の分離を生じたもの(故障によるものに限る。)
十三 橋脚、架線その他の鉄道施設(鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)第八条第一項に規定する鉄道施設をいい、軌道法(大正十年法律第七十六号)による軌道施設を含む。)を損傷し、三時間以上本線において鉄道車両の運転を休止させたもの
十四 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する高速自動車国道をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。以下同じ。)において、三時間以上自動車の通行を禁止させたもの
十五 前各号に掲げるもののほか、自動車事故の発生の防止を図るために国土交通大臣(主として指定都道府県等(道路運送法施行令(昭和二十六年政令第二百五十号)第四条第一項の指定都道府県等をいう。以下同じ。)の区域内において行われる自家用有償旅客運送に係るものの場合にあつては、当該指定都道府県等の長)が特に必要と認めて報告を指示したもの

自動車事故報告規則 第2条

事故の報告と速報の違い

自動車事故報告規則第2条の事故の報告は事故があった日から30日以内と決まっております。ここでややこしいのが、貨物自動車運送事業法第24条の「事故を引き起こしたときは、遅滞なく、国土交通大臣に届け出なければならない」という記述との相違です。届出は「遅滞なく」なのか「30日以内」なのか、迷うところですが、本執筆中に確認したところ、30日以内と考えていいそうです。最終的には各自ご確認ください。

そして、この重大な事故の中でも、より重要性が高い事故を引き起こした場合は事故の速報に該当します。この場合は電話、ファクシミリ装置その他適当な方法により、24時間以内においてできる限り速やかに、その事故の概要を運輸監理部長又は運輸支局長に速報しなければならないないとされております。

貨物自動車運送事業者(貨物軽自動車運送事業者を除く)等事故の報告事故があつた日から三十日以内
事業者等事故の速報該当する事故があつたとき又は国土交通大臣の指示があつたときから二十四時間以内
事故の報告と事故の速報

事故の速報の定義になります。

事業者等は、その使用する自動車(自家用自動車(自家用有償旅客運送の用に供するものを除く。)にあつては、軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車を除く。)について、次の各号のいずれかに該当する事故があつたとき又は国土交通大臣の指示があつたときは、前条第一項の規定によるほか、電話、ファクシミリ装置その他適当な方法により、二十四時間以内においてできる限り速やかに、その事故の概要を運輸監理部長又は運輸支局長に速報しなければならない。

一 第二条第一号に該当する事故(旅客自動車運送事業者及び自家用有償旅客運送者(以下「旅客自動車運送事業者等」という。)が使用する自動車が引き起こしたものに限る。)
二 第二条第三号に該当する事故であつて次に掲げるもの
イ 二人(旅客自動車運送事業者等が使用する自動車が引き起こした事故にあつては、一人)以上の死者を生じたもの
ロ 五人以上の重傷者を生じたもの
ハ 旅客に一人以上の重傷者を生じたもの
三 第二条第四号に該当する事故
四 第二条第五号に該当する事故(自動車が転覆し、転落し、火災を起こし、又は鉄道車両、自動車その他の物件と衝突し、若しくは接触したことにより生じたものに限る。)
五 第二条第八号に該当する事故(酒気帯び運転があつたものに限る。)
2 前条第三項の規定は、前項の規定により運輸監理部長又は運輸支局長が速報を受けた場合について準用する。
3 第一項の規定にかかわらず、主として指定都道府県等の区域内において自家用有償旅客運送を行う者の場合にあつては、同項各号のいずれかに該当する事故があつたとき又は当該指定都道府県等の長の指示があつたときは、当該指定都道府県等の長に速報するものとする。

自動車事故報告規則 第4条

事故の定義と事故の速報の主な違いについてです。

事故の定義事故の速報
死者又は重傷者を生じたもの二人以上の死者を生じたもの
十台以上の自動車の衝突又は接触を生じたもの五人以上の重傷者を生じたもの
十人以上の負傷者を生じたもの十人以上の負傷者を生じたもの
酒気帯び運転、無免許運転、大型自動車等無資格運転又は麻薬等運転を伴うもの←に該当する事故のうち酒気帯び運転があつたものだけ
事故の定義と事故の速報の比較

事業実績報告書の事故について

事業実績報告書とは前年提出が義務付けられている事業の実績についての報告書ですが、この事業実績報告書にも重大な事故があった場合に記載するための欄があります。そして、ここに記載する事故も自動車事故報告規則第2条(定義)に記載されている事故のことをいいます。

報告は必要ないが記録しなければならない事故について

次に報告までは必要ないが記録が必要な事故についてです。自動車事故報告規則第2条で定義された重大な事故については記録+報告が必要です。しかし、報告までは必要ないが、記録が必要な事故というものがあります。

また記録とは貨物自動車運送事業輸送安全規則第九条の二に該当する事故の記録だけなく日報などの乗務等の記録も該当します。

一般貨物自動車運送事業者等は、事業用自動車に係る運転者の乗務について、当該乗務を行った運転者ごとに次に掲げる事項を記録させ、かつ、その記録を一年間保存しなければならない。

七 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第六十七条第二項に規定する交通事故若しくは自動車事故報告規則(昭和二十六年運輸省令第百四号)第二条に規定する事故(第九条の二及び第九条の五第一項において「事故」という。)

貨物自動車運送事業輸送安全規則 第八条

報告までは必要ないが、記録が必要な事故とは道路交通法第六十七条第二項に規定する交通事故のことをいいます。重大な事故との定義と比較すると事故の範囲はもっと広義になり、車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊なども含まれます。

先ほどの事業実績報告書に交通事故件数の記入欄がありましたが、ここに書く事故は報告までは必要ないが記録が必要な事故になります。

第九条の二 事故の記録
一般貨物自動車運送事業者等は、事業用自動車に係る事故が発生した場合には、次に掲げる事項を記録し、その記録を当該事業用自動車の運行を管理する営業所において三年間保存しなければならない。
一 乗務員の氏名
二 事業用自動車の自動車登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示
三 事故の発生日時
四 事故の発生場所
五 事故の当事者(乗務員を除く。)の氏名
六 事故の概要(損害の程度を含む。)
七 事故の原因
八 再発防止対策

貨物自動車運送事業輸送安全規則 第九条の二

事故と関係あるその他の事項について

運転者台帳にも事故の概要などを記載しなければなりません。

一般貨物自動車運送事業者等は、運転者ごとに、第一号から第八号までに掲げる事項を記載し、かつ、第九号に掲げる写真をはり付けた一定の様式の運転者台帳を作成し、これを当該運転者の属する営業所に備えて置かなければならない。

六 事故を引き起こした場合又は道路交通法第百八条の三十四の規定による通知を受けた場合は、その概要

貨物自動車運送事業輸送安全規則 第九条の五

一般貨物自動車運送事業者等は死者又は負傷者が生じた事故を引き起こした運転者に対して特別な指導を行い、かつ、国土交通大臣が告示で定める適性診断を受けさせなければなりません。

一般貨物自動車運送事業者等は、国土交通大臣が告示で定めるところにより、次に掲げる運転者に対して、事業用自動車の運行の安全を確保するために遵守すべき事項について特別な指導を行い、かつ、国土交通大臣が告示で定める適性診断であって第十二条の二及び第十二条の三の規定により国土交通大臣の認定を受けたものを受けさせなければならない。

一 死者又は負傷者(自動車損害賠償保障法施行令(昭和三十年政令第二百八十六号)第五条第二号、第三号又は第四号に掲げる傷害を受けた者をいう。)が生じた事故を引き起こした者
二 運転者として新たに雇い入れた者
三 高齢者(六十五才以上の者をいう。)

貨物自動車運送事業輸送安全規則 第十条

一般貨物自動車運送事業者等は死者若しくは重傷者が生じた事故を引き起こした事業用自動車の運行を管理する営業所の運行管理者に対して国土交通大臣が告示で定める講習を受けさせなければなりません。

一般貨物自動車運送事業者等は、国土交通大臣が告示で定めるところにより、次に掲げる運行管理者に国土交通大臣が告示で定める講習であって次項において準用する第十二条の二及び第十二条の三の規定により国土交通大臣の認定を受けたものを受けさせなければならない。
一 死者若しくは重傷者(自動車損害賠償保障法施行令第五条第二号又は第三号に掲げる傷害を受けた者をいう。)が生じた事故を引き起こした事業用自動車の運行を管理する営業所又は法第三十三条(法第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による処分(輸送の安全に係るものに限る。)の原因となった違反行為が行われた営業所において選任している者
二 運行管理者として新たに選任した者
三 最後に国土交通大臣が認定する講習を受講した日の属する年度の翌年度の末日を経過した者-

貨物自動車運送事業輸送安全規則 第二十三条

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