本記事は一般乗用旅客自動車運送事業許可の中でも介護タクシー(福祉輸送サービス)に限定して解説しております。
一般乗用旅客自動車運送事業許可とは主にタクシー会社などが取得する許可になりますが、この介護タクシーの許可というのは、旅客を福祉輸送に限定することによって、通常の一般乗用旅客自動車運送事業許可よりも許可基準を緩和した制度となります。
具体的には営業区域や最低車両数の緩和などの措置が取られております。
そのため、タクシー会社の設立と比べると比較的少額な資金で新規参入できるので、これから福祉関係でビジネスを始めたい方にはお勧めの制度といえるでしょう。
本記事では一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送サービス事業)経営許可申請の必要書類や許可基準について解説いたします。
福祉輸送サービス(介護タクシー)の取扱う旅客及び使用車両の範囲
まず、福祉輸送限定(介護タクシー)経営許可申請の取扱う旅客及び使用車両の範囲は下記の通りとなります。
旅客について
福祉輸送サービス(介護タクシー)はタクシーと違い、誰でも旅客として乗車させることはできません。旅客は福祉輸送に限定されており、具体的には下記に該当する者及びその付添人となります。
(1)介護保険法(平成9年法律第123号)第19条第1項に規定する要介護認定を受けている者
一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準
(2)介護保険法第19条第2項に規定する要支援認定を受けている者
(3)身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に規定する身体障害者手帳の交付を受けている者
(4)上記(1)~(3)に該当する者のほか、肢体不自由、内部障害、知的障害及び精神障害その他の障害を有する等により単独での移動が困難な者であって、単独でタクシーその他の公共交通機関を利用することが困難な者
(5)消防機関又は消防機関と連携するコールセンターを介して、患者等搬送事業者による搬送サービスの提供を受ける患者
自動車及び乗務する者
次に福祉輸送サービス(介護タクシー)に利用できる自動車及び乗務する者の要件は以下に掲げるものになります。(1)は努力義務で(2)は義務になります。具体的には自動車が福祉自動車の場合は二種免許だけあれば申請できますが、自動車が福祉自動車でない場合は二種免許に加えて介護福祉士などの資格が別途必要になります。
(1) 道路運送法施行規則等の一部を改正する省令(平成18年国土交通省令第86号)による改正後の道路運送法施行規則(昭和26年運輸省令第75号。以下「施行規則」という。)第51条の3第1項第8号に規定する福祉自動車(車いす若しくはストレッチャーのためのリフト、スロープ、寝台等の特殊な設備を設けた自動車、又は回転シート、リフトアップシート等の乗降を容易にするための装置を設けた自動車。以下「福祉自動車」という。)を使用する場合にあっては、介護福祉士若しくは訪問介護員若しくはサービス介助士の資格を有する者又は一般社団法人全国タクシー・ハイヤー連合会等が実施するケア輸送サービス従事者研修(以下「ケア輸送サービス従事者研修」という。)を修了した者、又は一般財団法人全国福祉輸送サービス協会が実施する福祉タクシー乗務員研修を修了した者が乗務するよう努めなければならない。
一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準
(2) (1)によらず、セダン型等の一般車両を使用する場合にあっては、介護福祉士若しくは訪問介護員若しくは居宅介護従業者の資格を有する者又はケア輸送サービス従事者研修を修了している者が乗務しなければならない。
福祉輸送限定(介護タクシー)許可申請に必要な書類
次に福祉輸送限定(介護タクシー)経営許可申請の必要書類(添付書類)についてです。必要書類は審査基準を理解したうえで用意することをお勧めします。また審査の過程においてこれ以外の書類についても別途求められる場合があります。
1. 事業の用に供する施設の概要及び付近の状況を記載した書面
① 営業所、車庫、休憩、仮眠又は睡眠のための施設の案内図(営業所、車庫、休憩、仮眠又は睡眠のための施設の距離)
② 営業所、車庫、休憩、仮眠又は睡眠のための施設の見取図、平面図(求積図)
③ 営業所、車庫、休憩、仮眠又は睡眠のための施設に係る関係法令に抵触しない旨を証する書面(様式例1)
④ 施設の使用権原を証する書面
・自己所有:不動産登記簿謄本等
・借入:賃貸借契約書(写)等
⑤ 車庫前面道路の道路幅員証明(前面道路が国道の場合は不要)
⑥ 計画する事業用自動車の使用権原を証する書面
・車両購入:売買契約書(写)又は売渡承諾書(写)等
・リース:自動車リース契約書(写)
・自己所有:自動車検査証(写)2.計画する管理運営体制(様式例2)
一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)経営許可申請書作成の手引き(福祉輸送限定用)
3.事業の開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法を記載した書類(様式例3-1、3-2)
・任意保険の見積書(補償額、対物保険に係る免責額、保険料の分かるもの)
・タクシーメーター器の見積書(タクシーメータ器による運賃を収受する場合に限る。)
・申請日直近の残高証明書(申請者名義)
4.法第7条(欠格事由)各号のいずれにも該当しない旨を証する書面及び法令遵守状況を証する書面(宣誓書)(様式例4、様式例5)
5.社会保険等加入義務者が社会保険等に加入する計画があることを証する書面等宣誓書(様式例7)
6. 既存の法人にあっては、次に掲げる書類
① 定款又は寄付行為
② 登記簿の謄本
③ 最近の事業年度における貸借対照表
④ 役員又は社員の名簿及び履歴書
7. 法人を設立しようとするものにあっては、次に掲げる書類
①定款(商法第167条及びその準用規定により認証を必要とする場合にあっては、認証のある定款)又は寄付行為の謄本
② 発起人、社員又は設立者の名簿及び履歴書
③設立しようとする法人が株式会社又は有限会社である場合にあっては、株式の引受け又は出資の状況及び見込みを記載した書面
8. 個人にあっては、次に掲げる書類
① 資産目録
② 戸籍抄本
③ 履歴書
審査基準(審査のポイント)
次に審査基準についてです。福祉輸送サービスの審査基準は一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準を基本としますが、随所に緩和措置がありますのでご注意ください。
1.営業区域
(1)道路運送法施行規則(昭和26年運輸省令第75号)第5条に基づき関東運輸局長が定める営業区域は別表のとおりとする
一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準
(2)営業区域に営業所を設置するものであること。
福祉輸送サービスの営業区域は緩和措置が取られており都道府県単位で設定できます。
2.営業所
配置する事業用自動車に係る運行管理及び利用者への営業上の対応を行う事務所であって、次の各事項に適合するものであること。
一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準
(1)営業区域内にあること。なお、複数の営業区域を有する場合にあっては、それぞれの営業区域内にあること。
(2)申請者が、土地、建物について3年以上の使用権原を有するものであること。
(3)建築基準法(昭和25年法律第201号)、都市計画法(昭和43年法律第100号)、消防法(昭和23年法律第186号)、農地法(昭和27年法律第229号)等関係法令の規定に抵触しないものであること。
(4)事業計画を的確に遂行するに足る規模のものであること。
(1)営業区域内にあること。なお、複数の営業区域を有する場合にあっては、それぞれの営業区域内にあること。
営業所は営業区域内になければなりません、例えば営業区域が東京都であれば営業所も東京都が原則となります。営業は乗客の発着のどちらかが営業区域である必要があるため、営業区域以外で完結する乗客の乗降行為はできません。
(2)申請者が、土地、建物について3年以上の使用権原を有するものであること。
例えば営業所を賃借している場合は賃貸借契約書の契約期間を参考にします。この期間が3年以上あれば使用権原を満たしていると判断されます。
また、契約期間が3年未満の場合は別途使用承諾書みたいな書類を作成して建物所有者から承諾をとる場合があります。
(3)建築基準法(昭和25年法律第201号)、都市計画法(昭和43年法律第100号)、消防法(昭和23年法律第186号)、農地法(昭和27年法律第229号)等関係法令の規定に抵触しないものであること。
一般乗用旅客自動車運送事業許可の根拠法は道路運送法などですが、その他の関係法令にも抵触してはなりません。例えば都市計画法では用途地域によって建築物の用途を制限しておりますが、この都市計画法で事務所の用途が制限されている場所では一般乗用旅客自動車運送事業の営業所も認められないということになります。
(4)事業計画を的確に遂行するに足る規模のものであること。
営業所は事業計画を的確に遂行するに足る規模のものでなければなりません。具体的な数値の規定はありませんが、事業ができるような設備の設置だったり広さが最低限必要だと考えられます。
3.事業用自動車
申請者が使用権原を有するものであること。
一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準
これから車両を購入する場合は売買契約書又は売渡承諾書等の写し、自動車をリースする場合は自動車リース契約書の写し、すでに車両をお持ちの方は自動車検査証の写しが必要になります。
福祉輸送サービスの車両は特に制限がなく旅客用であれば軽自動車でも認められます。因みに一般貨物は軽自動車は認められません。
4.最低車両数
(1)申請する営業区域において、別表に定める車両数以上の事業用自動車を配置するものであること。
一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準
(2)(1)の車両数については、同一営業区域内に複数の営業所を設置する場合にあっては、当該複数の営業所に配置する車両数を合算したものとするが、いずれの営業所においても5両以上の事業用自動車を配置するものであること。
福祉輸送サービスは緩和措置が取られており最低車両台数は1台となっております。
5.自動車車庫
(1)原則として営業所に併設するものであること。ただし、併設できない場合は、営業所から直線で2キロメートル以内の営業区域内にあって運行管理をはじめとする管理が十分可能であること。
一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準
(2)車両と自動車車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保され、かつ、営業所に配置する事業用自動車の全てを収容できるものであること。
(3)他の用途に使用される部分と明確に区画されているものであること。
(4)申請者が、土地、建物について3年以上の使用権原を有するものであること。
(5)建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること。
(6)事業用自動車の点検、清掃及び調整が実施できる充分な広さを有し、必要な点検が実施できる測定用器具等が備えられているものであること。
(7)事業用自動車が自動車車庫への出入りに支障のないものであり、前面道路との関係において車両制限令(昭和36年政令第265号)に抵触しないものであること。なお、前面道路が私道の場合にあっては、当該私道の通行に係る使用権原を有する者の承認があり、かつ、事業用自動車が当該私道に接続する公道との関係においても車両制限令に抵触しないものであること。
(1)原則として営業所に併設するものであること。ただし、併設できない場合は、営業所から直線で2キロメートル以内の営業区域内にあって運行管理をはじめとする管理が十分可能であること。
車庫は営業所に併設されているのが理想ですが、できない場合は営業所から2キロ以内の範囲で設けることができます。
(2)車両と自動車車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保され、かつ、営業所に配置する事業用自動車の全てを収容できるものであること。
車庫は車両を全て収容できるような大きさのものを確保しなければなりません。
そして、車両は車庫の端から50㎝以上の間隔をあけ、車両を2台以上収容する場合は車両間も50㎝以上の間隔をあける必要があります。
(3)他の用途に使用される部分と明確に区画されているものであること。
他の用途と明確に区画されていることとは、福祉輸送サービス事業で使用する専用の車庫を設けなければならないということになります。なので車庫を自家用の車両や一般貨物の車両、又は他の用途とシェアリングすることはできません。
(6)事業用自動車の点検、清掃及び調整が実施できる充分な広さを有し、必要な点検が実施できる測定用器具等が備えられているものであること。
車庫は駐車できるだけでなく点検や清掃ができるような広さがなければなりません。(2)で車両間の間隔を50㎝以上確保する必要があると説明しましたが、それに加えて点検、清掃及び調整が実施できる充分な広さも必要だということになります。
(7)事業用自動車が自動車車庫への出入りに支障のないものであり、前面道路との関係において車両制限令(昭和36年政令第265号)に抵触しないものであること。なお、前面道路が私道の場合にあっては、当該私道の通行に係る使用権原を有する者の承認があり、かつ、事業用自動車が当該私道に接続する公道との関係においても車両制限令に抵触しないものであること。
同じ内容を「車庫の前面道路の幅について」で解説しています。
6.休憩、仮眠又は睡眠のための施設
(1)原則として営業所又は自動車車庫に併設されているものであること。ただし、併設できない場合は、営業所及び自動車車庫のいずれからも直線で2キロメートルの範囲内にあること。
一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準
(2)事業計画を的確に遂行するに足る規模を有し、適切な設備を有するものであること。
(3)他の用途に使用される部分と明確に区画され、かつ、事業計画に照らし運転者が常時使用することができるものであること。
(4)申請者が、土地、建物について3年以上の使用権原を有するものであること。
(5)建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること。
(3)他の用途に使用される部分と明確に区画され、かつ、事業計画に照らし運転者が常時使用することができるものであること。
車庫と同じように「他の用途に使用される部分と明確に区画され」という記載があるので、福祉輸送サービス事業専用の休憩、仮眠又は睡眠のための施設が必要になります。
因みに営業所のところにはこのような記載はないので他の事業との兼用も可能であると考えられます。
7.管理運営体制
(1)法人にあっては、当該法人の役員のうち1名以上が専従するものであること。
一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準
(2)営業所ごとに、配置する事業用自動車の数により義務づけられる常勤の有資格の運行管理者の員数を確保する管理計画があること。この場合において、旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号、以下「運輸規則」という。)第22条第1項に基づき関東運輸局長が指定する地域において道路運送法(昭和26年法律第183号、以下「法」という。)第23条の2第1項第2号の規定により運行管理者資格者証の交付を受けた者を運行管理者として選任する場合には、申請に係る営業区域において5年以上の実務の経験を有するものであること。
(3)運行管理を担当する役員が定められていること等運行管理に関する指揮命令系統が明確であること。
(4)自動車車庫を営業所に併設できない場合は、自動車車庫と営業所とが常時密接な連絡をとれる体制が整備されるとともに、点呼等が確実に実施される体制が確立されていること。
(5)事故防止についての教育及び指導体制を整え、かつ、事故の処理及び自動車事故報告規則(昭和26年運輸省令第104号)に基づく報告等の責任体制その他緊急時の連絡体制及び協力体制について明確に整備されていること。
(6)上記(2)~(5)の事項等を明記した運行管理規程が定められていること。
(7)運転者として選任しようとする者に対し、運輸規則第36条第2項に定める指導を行うことができる体制が確立されていること。
(8)運転者に対して行う営業区域内の地理及び利用者等に対する応接に関する指導監督に係る指導要領が定められているとともに、当該指導監督を総括処理する指導主任者が選任されていること。
(9)原則として、常勤の有資格の整備管理者の選任計画があること。ただし、一定の要件を満たすグループ企業(会社法(平成17年法律第86号)第2条第3号及び第4号に定める子会社及び親会社の関係にある企業及び同一の親会社を持つ子会社をいう。)に整備管理者を外部委託する場合は、事業用自動車の運行の可否の決定等整備管理に関する業務が確実に実施される体制が確立されていること。
(10) 利用者等からの苦情の処理に関する体制が整備されていること。
(1)法人にあっては、当該法人の役員のうち1名以上が専従するものであること。
専従の意味とはその仕事以外できないことをいいます。つまり、専従要件とは福祉輸送サービス事業しか原則できないことになります。
(2)営業所ごとに、配置する事業用自動車の数により義務づけられる常勤の有資格の運行管理者の員数を確保する管理計画があること
(9)原則として、常勤の有資格の整備管理者の選任計画があること
福祉輸送サービス事業は最低車両台数が1台からとなっているため、運行管理者、整備管理者ともに有資格者でなくても要件を満たす場合があります。
8.運転者
(1)事業計画を遂行するに足る員数の有資格の運転者を常時選任する計画があること。
一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準
(2)この場合、適切な乗務割、労働時間、給与体系を前提としたものであって、労働関係法令の規定に抵触するものでないこと。
(3)運転者は、運輸規則第36条第1項各号に該当する者ではないこと。
(4)定時制乗務員を選任する場合には、適切な就業規則を定め、適切な乗務割による乗務日時の決定等が適切になされるものであること。
(1)事業計画を遂行するに足る員数の有資格の運転者を常時選任する計画があること。
事業計画を遂行するに足る員数の有資格の運転者を常時選任するとは車両の台数によって異なるわけですが、単純に1車両につき運転手1人という考え方ではありません。
例えば、営業日が週5日であれば1車両につき運転手1人という考え方もできますが、営業日が週7日の場合は1両あたりの必要人員は1.4人となります。
(2)この場合、適切な乗務割、労働時間、給与体系を前提としたものであって、労働関係法令の規定に抵触するものでないこと。
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準に抵触しないことや、残業代及び最低賃金以上の給与の支払いなど法律で定められたことを遵守しなければなりません。
(3)運転者は、運輸規則第36条第1項各号に該当する者ではないこと。
運輸規則第36条第1項各号に該当する者とは下記に該当する者のことをいいます。
- 日日雇い入れられる者
- 2月以内の期間を定めて使用される者
- 試みの使用期間中の者(14日を超えて引き続き使用されるに至つた者を除く。)
- 14日未満の期間ごとに賃金の支払い(仮払い、前貸しその他の方法による金銭の授受であつて実質的に賃金の支払いと認められる行為を含む。)を受ける者
9.資金計画
(1)所要資金の見積りが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。なお、所要資金は次の(イ)~(ト)の合計額とし、各費用ごとに以下に示すところにより計算されているものであること。
一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準
(イ) 車両費 取得価格(未払金を含む)又はリースの場合は1年分の賃借料等
(ロ) 土地費 取得価格(未払金を含む)又は1年分の賃借料等
(ハ) 建物費 取得価格(未払金を含む)又は1年分の賃借料等
(ニ) 機械器具及び什器備品 取得価格(未払金を含む)
(ホ) 運転資金 人件費、燃料油脂費、修繕費等の2か月分
(ヘ) 保険料等 保険料及び租税公課(1年分)
(ト) その他 創業費等開業に要する費用(全額)
(2)所要資金の50%以上、かつ、事業開始当初に要する資金の100%以上の自己資金が、申請日以降常時確保されていること。なお、事業開始当初に要する資金は、次の(イ)~(ハ)の合計額とする。
(イ) (1)(イ)に係る頭金及び2か月分の分割支払金、又は、リースの場合は2か月分の賃借料等。ただし、一括払いによって取得する場合は、(1)(イ)と同額とする。
(ロ) (1)(ロ)及び(ハ)に係る頭金及び2か月分の分割支払金、又は、2か月分の賃借料及び敷金等。ただし、一括払いによって取得する場合は、(1)(ロ)及び(ハ)と同額とする。
(ハ) (1)(ニ)~(ト)に係る合計額
申請から許可時まで事業計画に必要な一定の資金を確保しなければなりません。具体的には所要資金の50%以上、かつ、事業開始当初に要する資金の100%以上の自己資金が、申請日以降常時確保されていることです。
所要資金は自己資金よりも高くなります。例えば、営業所や車庫の賃借料は所要資金は1年分計上しますが、自己資金は2か月分計上すれば足りるからです。
また、人件費に関しては福祉輸送サービス事業に係るものだけでよいとされています。
10.法令遵守
(1)申請者又は申請者が法人である場合にあってはその法人の業務を執行する常勤の役員が、一般乗用旅客自動車運送事業の遂行に必要な法令の知識を有するものであること。
一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準
(2)健康保険法、厚生年金法、労働者災害補償保険法、雇用保険法(以下「社会保険等」という。)に基づく社会保険等加入義務者が社会保険等に加入すること。
(3)申請者又は申請者が法人である場合にあってはその法人の業務を執行する常勤の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)(以下「申請者等」という。)が、以下のすべてに該当するものであること等法令遵守の点で問題のないこと。~以下割愛~
(1)申請者又は申請者が法人である場合にあってはその法人の業務を執行する常勤の役員が、一般乗用旅客自動車運送事業の遂行に必要な法令の知識を有するものであること。
関東運輸局管内の福祉輸送サービス事業の法令試験は本記事執筆時においては免除されております。
11.損害賠償能力
旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運行により生じた旅客その他の者の生命、身体又は財産の損害を賠償するため講じておくべき措置の基準を定める告示(平成17年国土交通省告示第503号)で定める基準に適合する任意保険又は共済に計画車両の全てが加入する計画があること。
一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準
事業用自動車として保険に加入し対人8,000万円以上、対物200万円以上が許可要件となっています。