このページでは一般貨物自動車運送事業新規許可の「資金計画」の要件について説明しております。
許可要件のページについての注意事項は営業所のところで説明しておりますので、よろしければ先に「一般貨物の営業所の要件とは」もご覧ください。
一般貨物自動車運送事業新規許可の「資金計画」の要件について動画でも説明しております。
資金計画の審査基準
【新規許可等の審査基準】
8.資金計画(1) 資金調達について十分な裏付けがあること。
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について
(2) 事業の開始に要する資金(以下、「所要資金」という。)の見積りが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。なお、所要資金は次のア.~カ.の合計額とし、各費用ごとに以下に示すところにより計算されているものであること。
ア.車 両 費 取得価格 (分割の場合は頭金及び1ヵ年分の割賦金。ただし、一括払いの場合は取得価格。)又は、リースの場合は1ヵ年分の賃借料等
イ.建 物 費 取得価格 (分割の場合は頭金及び1ヵ年分の割賦金。ただし、一括払いの場合は取得価格。) 又は、1ヵ年分の賃借料、敷金等
ウ.土 地 費 取得価格 (分割の場合は頭金及び1ヵ年分の割賦金。ただし、一括払いの場合は取得価格。) 又は、1ヵ年分の賃借料、敷金等
エ.保 険 料
① 自動車損害賠償責任保険料又は自動車損害賠償責任共済掛金の1ヵ年分
② 賠償できる対人賠償自動車保険(任意保険)料の1ヵ年分又は交通共済の加入に係る掛金の1ヵ年分
③ 危険物を取扱う運送の場合は、当該危険物に対応する賠償責任保険料の1ヵ年分
オ.各 種 税 租税公課の1ヵ年分
カ.運転資金 人件費、燃料油脂費、修繕費等の6ヶ月分
(3) 所要資金の全額以上の自己資金が、申請日以降許可日までの間、常時確保されていること。
【新規許可等の審査基準の細部取扱い】
8.資金計画① 資金計画については、別添様式3-1及び3-2を例とする。
「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について」の細部取扱について
② 自己資金には、当該申請事業に係る預貯金を基本とする。ただし、関東運輸局長が認めた場合に限り、預貯金以外の流動資産も含めることができることとする。
③ 預貯金額は、申請日時点及び処分までの適宜の時点の残高証明書等の提出をもって確認するものとする。
④ 預貯金以外の流動資産額については、申請日時点及び処分までの適宜の時点の見込み貸借対照表等をもって確認するものとする。
⑤ その他貨物自動車運送事業法施行規則第3条第6号から第8号に規定する添付書類を基本とし審査することとする。
(1) 資金調達について十分な裏付けがあること。
資金計画に必要な資金は原則自己資金とし、自己資金は預貯金を基本とします。関東運輸局長が認めた場合は、預貯金以外の流動資産を自己資金に含めることができる場合があります。自己資金については残高証明書等で裏付けを取ります。残高証明書の提出時期は申請日時点及び処分までの適宜の時点とされておりますが、当事務所の経験上は関東運輸局管轄の場合、申請日と補正指示時点の2回提出するのが一般的です。
ただし、今後も同じタイミングで要求されることを保証するものではありませんので注意してください。
預貯金が複数口座の場合、1回目と2回目ともに同一の金融機関、口座の残高証明書が必要になります。また、2回目の残高証明書は1回目の資金確保の確認であるため、1回目を超える金額は認められません。
例えば、費用を2,000万円で計上して1回目の残価証明書は2,200万円、2回目は2,500万円で提出したとします。その後、計上した費用に誤りがあり、実は必要な費用が2,400万円だったとしても、基準となる残高は2,500万円ではなく2,200万円となりますので、この場合は要件を満たさない可能性がでてきます。
複数の残高証明書等を提出した場合の自己資金の例
金融機関名 口座種別 口座番号 | 1回目(申請日時点) | 2回目(処分までの適宜の時点) | 自己資金と認められる金額 |
〇銀行 普通 123 | 800万円 | 1000万円 | 800万円 |
△銀行 普通 234 | 300万円 | 300万円 | 300万円 |
△銀行 定期 345 | 200万円 | 100万円 | 100万円 |
□銀行 普通 456 | 提出なし | 500万円 | 0円 |
合計 | 1200万円 |
(2) 事業の開始に要する資金(以下、「所要資金」という。)の見積りが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。なお、所要資金は次のア.~カ.の合計額とし、各費用ごとに以下に示すところにより計算されているものであること。
費用を計上します。費用については裏付け資料が必要なものとそうでないものがあります。
例えば、車両や営業所及び車庫についてはリース契約書や賃貸借契約書などの裏付け資料が必要になりますが、人件費や燃料費を計上する場合は裏付け資料は必要となりません。
しかし、この場合でも人件費は最低賃金、燃料費は計画する事業計画との兼ね合いが審査されるので、いくらでもいいわけではありません。
また、費用項目ごとに計上する期間が設定されております。これは令和元年の法改正でかなり厳格になりました。例えば人件費は改正後半年分計上しなくてはならなくなりました。そのため、事業計画に必要な人員が7人と仮定した場合で、それぞれの報酬が月額25万円だとすると、人件費だけで25万円×7人×6ヵ月で1,050万円以上の資金が必要ということになります。
(3) 所要資金の全額以上の自己資金が、申請日以降許可日までの間、常時確保されていること。
(2)で計上した費用以上の資金を申請日から許可日まで常時確保していなくてはなりません。現在、一般貨物の新規許可の標準処理期間は約5カ月なので、その間は資金が計上された費用を下回ることはできません。