一般貨物の法令遵守の要件とは

このページでは一般貨物自動車運送事業新規許可の「法令遵守」の要件について説明しております。

許可要件のページについての注意事項は営業所のところで説明しておりますので、よろしければ先に「一般貨物の営業所の要件とは」もご覧ください。

法令遵守の審査基準

【新規許可等の審査基準】
9.法令遵守

(1) 申請者又はその法人の役員は、貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令知識を有し、かつ、その法令を遵守すること。
(2) 健康保険法(大正11年法律第70号)、厚生年金保険法(昭和29年法律 第115号)、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)、雇用保険法 (昭和49年法律第116号)に基づく社会保険及び労働保険(以下「社会保 険等」という。)の加入義務者が社会保険等に加入すること。
(3) 申請者又は申請者が法人である場合にあっては、その法人の業務を執行する役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)が、貨物自動車運送事業法又は道路運送法の違反により、申請日前6ヶ月間(悪質な違反については1年間)又は申請日以降に、自動車その他の輸送施設の使用停止以上の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する役員として在任した者を含む。)ではないこと。 その他法令遵守状況に著しい問題があると認められる者でないこと。
(4) 新規許可事業者に対しては、許可書交付時等に指導講習を実施するとともに、運輸開始の届出後1ヶ月以降3ヶ月以内に実施される地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の適正化事業指導員による巡回指導によっても改善が見込まれない場合等には、運輸支局による監査等を実施するものとする。

一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について

【新規許可等の審査基準の細部取扱い】
9. 法令遵守

(3)について
① 申請日前6ヶ月間(悪質な違反については1年間)の起算日は、その処分期間終了後とする。
② 業務を執行する役員(いかなる名称を問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)には、相談役、顧問等として事業の経営に関与し、実質的に影響力を及ぼす者を含むこととする。
③ 悪質な違反とは次のとおりとする。
a 違反事実若しくはこれを証するものを隠滅し、又は隠滅すると疑うに足りる相当の理由が認められる場合。
b 飲酒運転、ひき逃げ等の悪質な違反行為又は社会的影響のある事故を引き起こした場合。
c 事業の停止処分の場合。
(4)について
① 新規許可事業者に対する許可書交付時等の指導講習は、新規許可事業者自らの安全輸送に対する意識を高めるため、別途定める指導講習会実施要領により、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関(以下「地方実施機関」 という。)の参画を求め実施するものとする。 なお、指導講習の未受講者については、監査方針により厳正に対処するものとする。
② 運輸開始の届出後、1ヶ月以降3ヶ月以内に地方実施機関の適正化事業指導員による巡回指導が実施できるよう運輸支局と地方実施機関とは密接に連携をとることとする。
③ 地方実施機関の適正化事業指導員の巡回指導は、営業所、車庫、車両等の現況確認とともに、関係法令の遵守状況を中心に行うこととする。

「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について」の細部取扱について

(1) 申請者又はその法人の役員は、貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令知識を有し、かつ、その法令を遵守すること。

解説

法令試験について定めております。法令試験は一般貨物の新規許可における鬼門となっております。これを合格しない限りは実質上、審査さえしてもらえず、2回試験に不合格になると却下処分(取下げ)となり再度申請をしなければなりません。

法令試験は奇数月に開催され、試験月の前月までに申請した事業者に受験資格が付与されます。

例えば、9月の法令試験を受験するためには8月末までに申請しなくてはなりません。もし、申請日が9月1日になると法令試験は11月になるので注意が必要です。

また、受験できる者は申請者個人か申請者が法人の場合はその役員となるため、法人の従業員などは原則受験することができません。

【試験の内容】
①出題の範囲(以下の法令等については、法令試験の実施日において施行されている内容から出題されます)

1.貨物自動車運送事業法 2.貨物自動車運送事業法施行規則 3.貨物自動車運送事業輸送安全規則 4.貨物自動車運送事業報告規則 5.自動車事故報告規則 6.道路運送法7.道路運送車両法 8.道路交通法 9.労働基準法 10.自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年2月9日労働省告示第7号) 11.労働安全衛生法 12.私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 13.下請代金支払遅延等防止法

②設問方式  ○×方式及び語群選択方式とする。

③出題数 30問

④合格基準 出題数の8割以上とする。(24点) ⑤試験時間 50分とする。

(2) 健康保険法(大正11年法律第70号)、厚生年金保険法(昭和29年法律 第115号)、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)、雇用保険法 (昭和49年法律第116号)に基づく社会保険及び労働保険(以下「社会保険等」という。)の加入義務者が社会保険等に加入すること。

解説

対象者は社会保険及び労働保険に加入しなければなりません。これも、近年の法令遵守の厳格化の流れから加入が必須となったところです。

加入義務者は法人の役員やその従業員です。役職(運行管理者、整備管理者、運転者)や雇用形態(正社員やアルバイト)は関係なく、加入義務者に該当すればそれぞれ加入しなければなりません。

また、運行管理者や整備管理者の常勤性は健康保険の加入状況などから判断されます。特に直近の審査ではこれらの加入状況が細かく審査されているので、他社に在籍しながら名前だけ貸すやり方(いわゆる名義貸し)はできません。

また労働保険などは会社が加入しているだけでは足りず、事業計画に必要な員数の加入状況まで求められるので、該当する裏付け資料を用意しなければなりません。

(3) 申請者又は申請者が法人である場合にあっては、その法人の業務を執行する役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)が、貨物自動車運送事業法又は道路運送法の違反により、申請日前6ヶ月間(悪質な違反については1年間)又は申請日以降に、自動車その他の輸送施設の使用停止以上の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する役員として在任した者を含む。)ではないこと。 その他法令遵守状況に著しい問題があると認められる者でないこと。

解説

欠格事由について定めております。申請日前6ヶ月間(悪質な違反については1年間) に自動車その他の輸送施設の使用停止以上の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者等は申請者になれない場合があります。
貨物自動車運送事業法第5条では許可の取り消しから5年は申請できないなどの欠格事由が定められていますが、許可の取り消しまではいかなくても輸送施設の使用停止以上の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者などは6ヶ月間申請ができないという規定になります。違反を犯した役員などがすぐに申請できないようになっております。

(4) 新規許可事業者に対しては、許可書交付時等に指導講習を実施するとともに、運輸開始の届出後1ヶ月以降3ヶ月以内に実施される地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の適正化事業指導員による巡回指導によっても改善が見込まれない場合等には、運輸支局による監査等を実施するものとする。

解説

一般貨物の事業者は許可を取ったら終わりではなく、毎日の帳簿類の記帳などやることがたくさんあります。これを怠っていると、定期的に行われる巡回指導や監査で思わぬ不利益を被ることがあります。また、巡回指導等で悪い評価を受けた事業者はその後の変更手続きができない可能性もあるのでくれぐれもご注意ください。

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