このページでは一般貨物自動車運送事業新規許可の「運行管理体制」の要件について説明しております。
許可要件のページについての注意事項は営業所のところで説明しておりますので、よろしければ先に「一般貨物の営業所の要件とは」もご覧ください。
一般貨物自動車運送事業新規許可の「運行管理体制」の要件について動画でも説明しております。
運行管理体制の審査基準
【新規許可等の審査基準】
6.運行管理体制事業の適正な運営を確保するために、次の各号に掲げる管理体制を整えていること。
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について
(1) 事業計画を適切に遂行するため必要とする員数の貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第2項に適合する事業用自動車の運転者を、常に確保できるものであること。
(2) 選任を義務づけられる員数の常勤の運行管理者を確保する管理計画があること。
(3) 勤務割及び乗務割が平成13年8月20日国土交通省告示第1365号に適合するものであること。
(4) 運行管理の担当役員等運行管理に関する指揮命令系統が明確であること。
(5) 車庫が営業所に併設できない場合には、車庫と営業所が常時密接な連絡をとれる体制を整備するとともに、点呼等が確実に実施される体制が確立していること。
(6) 事故防止ついての教育及び指導体制を整え、かつ、事故の処理及び自動車事故報告規則(昭和26年12月20日運輸省令第104号)に基づく報告の体制について整備されていること。
(7) 危険品の運送を行う者にあっては、消防法 (昭和23年法律第186号)等関係法令に定める取扱い資格者が確保されるものであること。
【新規許可等の審査基準の細部取扱い】
6.運行管理体制運行管理者が選任されていない営業所については、事業者が運行管理を確実に行うよう指導することとする。 運行管理の体制を記載した書類は別添様式1及び2を例とする。
「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について」の細部取扱について
(1) 事業計画を適切に遂行するため必要とする員数の貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第2項に適合する事業用自動車の運転者を、常に確保できるものであること。
貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第2項
2 前項の規定により選任する運転者は、日々雇い入れられる者、二月以内の期間を定めて使用される者又は試みの使用期間中の者(十四日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)であってはならない。
貨物自動車運送事業輸送安全規則
運転者数の要件になります。事業計画を適切に遂行するために必要な運転者の人数は原則車両の数と同じと考えて頂いて結構です。しかし、事業形態は事業者ごとに異なるため統一的に人数が決まっているわけではありません。
ただ、注意しておきたいのは事業形態が違うというのは、営業所の公休日の有無などが事業者によって違うということです。営業所に休みがあるのと無いのでは車両の稼働日数に違いが出てくるため必然的に必要な運転者数にも違いがでてくるという意味合いです。
なので、ここでは事業者側の都合を言っているわけではありません。
例えば、申請者が「当面は仕事が少なく車両の稼働は2台しかないから運転者は2人にする」というのは事業者側の都合になるので、必要な人数を満たしていないと判断される可能性が高いです。
また、運転者は常に確保されていることが要件となっております。この運転者の数には比較的流動性の高い、「日々雇い入れられる者」、「二月以内の期間を定めて使用される者」、「試みの使用期間中の者」は含まれません。
(2) 選任を義務づけられる員数の常勤の運行管理者を確保する管理計画があること。
営業所には必要な人数の運行管理者を確保しなければなりません。必要な人数は事業用自動車の数によって変わります。
事業用自動車の両数(被けん引車を除く) | 運行管理者数 |
29両まで | 1人 |
30両~59両 | 2人 |
60両~89両 | 3人 |
90両~119両 | 4人 |
120両~149両 | 5人 |
150両~179両 | 6人 |
180両~209両 | 7人 |
210両~239両 | 8人 |
一般貨物事業者の約7割が車両数20台未満といわれております。このことを鑑みれば、一般的には運行管理者数は1人いれば大丈夫でしょう。
しかし、一般貨物の新規許可を取るにあたってこの運行管理者を確保するのは一つの試練といえるでしょう。運行管理者を確保できていなくても申請は可能ですが、遅くても許可後1年後までには運行管理者を確保しなければらなりません。
運行管理者の注意事項については運行管理者のところでも説明しておりますので、よろしければ併せて運行管理者についてもご覧ください。
また、「細部取扱」に記載されておりますが、運行管理者を選任されていない営業所については事業者が運行管理を確実に行うよう指導することとなっております。これはいわゆる車両数が5両未満の営業所のことで、専ら零きゅう運送、一般廃棄物運送、一般的に需要の少ないと認められる島しょの地域における事業を行っている営業所のことをいいます。
(3) 勤務割及び乗務割が平成13年8月20日国土交通省告示第1365号に適合するものであること。
トラック運転者の労働時間等について規定しております。
区分 | 改善基準告示の内容 | |
拘束時間 | 一箇月 293時間 労働協定があるときは、1年のうち6箇月までは、1年間についての拘束時間が 3,516時間を超えない範囲において320時間までの時間まで延長できる。 1日 原則13時間 最大16時間 (15時間超えは1週間について2回以内) | |
運転時間 | 2日を平均して1日当たり9時間 2週間平均で1週間当たり44時間 | |
連続運転時間 | 4時間以内(運転の中断は1回連続10分以上、かつ合計30分以上の運転離脱が必要) | |
運行時間 | 一の運行における時間144時間 最初の勤務を開始してから最後の勤務を終了するまでの時間(ただし、フェリーに乗船した場合における休息期間を除く。) | |
休息期間 | 継続8時間以上 運転者の住所地での休息期間が、それ以外の場所での休息期間より長くなるよう努めること。 | |
拘束時間・休息期間の特例 | 休息期間の分割 | 一日(始業から24時間)において1回が継続4時間以上、合計10時間以上に分割可(業務の都合上やむを得ない場合で、一定期間の勤務回数の1/2以内(最高でも2ヵ月のうちの一ヵ月))。 ただし、フェリー乗船時には適用しない。 |
2人乗務の場合 | 2人乗務(ベット付き) 最大拘束時間を20時間まで延長可、休息期間は4時間まで短縮可 | |
隔日勤務の場合 | 2暦日における拘束時間は21時間を超えないこと。 夜間4時間以上の仮眠を与える場合は、2週間について3回を限度に2暦日における拘束時間を24時間まで延長可(2週間の拘束時間は126時間(21時間×6勤務まで) | |
フェリー乗船の場合 | 勤務の中途においてフェリーに乗船する場合、乗船時間は原則として休息期間として取り扱い、休息期間8時間から減ずることができる。ただし、減算後の休息期間は、二人乗務の場合を除き、フェリー下船時刻から勤務終了時刻までの時間の1/2を下回ってはならない。 | |
時間外労働の協定 | 時間外労働協定における一定期間は、2週間及び1箇月以上3箇月以内を協定する。 | |
休日労働 | 2週間に1回以内、かつ1箇月の拘束時間及び最大拘束時間の範囲内 | |
労働時間の取扱 | 労働時間は拘束時間から休憩時間(仮眠時間を含む)を差し引いたもの 事業場以外の休憩時間は、仮眠時間を除き3時間以内 | |
休日の取扱 | 休日は休息期間に24時間を加算した期間 いかなる場合であっても30時間を下回ってはならない。 | |
適用除外 | 緊急輸送、危険物輸送等の業務については、厚生労働省労働基準局長の定めにより適用除外 |
引用:平成13年8月20日国土交通省告示第1365号
(4) 運行管理の担当役員等運行管理に関する指揮命令系統が明確であること。
(5) 車庫が営業所に併設できない場合には、車庫と営業所が常時密接な連絡をとれる体制を整備するとともに、点呼等が確実に実施される体制が確立していること。
(6) 事故防止ついての教育及び指導体制を整え、かつ、事故の処理及び自動車事故報告規則(昭和26年12月20日運輸省令第104号)に基づく報告の体制について整備されていること。
(7) 危険品の運送を行う者にあっては、消防法 (昭和23年法律第186号)等関係法令に定める取扱い資格者が確保されるものであること。
組織の中の指揮命令系統が明確になっていることが必要です。併せて、車庫と営業所間での常時密接な連絡が取れる体制の構築、点呼が確実に取れる体制、事故防止についての従業員の教育指導体制、事故処理や報告などが速やかに取れる体制などを確立する必要があります。