一般貨物の許可がおりて運輸開始届を提出するとようやく運送事業を開始できます。しかし、運送事業者は許可を取って終わりではなくそこからが始まりでもあります。この記事では運送事業者が許可後にやることについてご説明いたします。
事業計画の変更
一般貨物の許可を取ると念願の運送事業を開始できますが、許可申請時に定めた事業計画を変更をしようとするときは、国土交通大臣に認可や届出をしなければなりません。
代表的な例でいうと、認可であれば営業所及び車庫の変更などがあげられます。
新規の許可申請の時は資金計画をクリアするために最低限の要件を整えた状態から事業を開始する方もいらっしゃると思いますが、事業が軌道にのってくると車庫が狭いとか営業所が遠いとかの不都合がでてくる場合があります。
そのような時に必要なのが事業計画変更認可申請です。
逆に事務所の名称など軽微な事業計画変更は届出で済みます。
届出の代表的な例でいうと事業用自動車の種別ごとの数の変更があります。これは車両を増やしたり減らしたりするときに必要な届出となります。なので車庫と車両を増やしたい場合は認可と届出、それぞれの手続きが必要になります。
主な認可と届出の違いは下記をご確認ください。
主な認可 | 主な届出 |
車庫及び休憩睡眠施設の位置及び収容能力 | 主たる事務所の名称及び位置 |
営業所又は荷扱所の位置(貨物自動車利用運送のみに係るもの及び地方運輸局長が指定する区域内におけるものは届出) | 営業所又は荷扱所の名称 |
貨物自動車利用運送を行うかどうかの別 | 利用運送の業務の範囲等 |
営業所に配置する事業用自動車の種別 | 利用運送の保管施設及び利用する事業者の概要 |
一般貨物自動車運送事業の譲渡し及び譲受けをする場合 | 事業用自動車の種別ごとの数の変更 |
一般貨物自動車運送事業者たる法人の合併及び分割をする場合 | 各営業所に配置する運行車の数の変更 |
一般貨物自動車運送事業の相続する場合 | 一般貨物自動車運送事業者等の氏名、名称又は住所に変更があった場合 |
法人の役員又は社員に変更があった場合 | |
一般貨物自動車運送事業の休止又は廃止の届出をしようとする場合 | |
一般貨物自動車運送事業等の運輸を開始した場合 | |
一般貨物自動車運送事業の譲渡し及び譲受け又は法人の合併若しくは分割が終了した場合 | |
休止していた一般貨物自動車運送事業等を再開した場合 |
事業実績報告書と事業報告書の届出
次に事業実績報告書と事業報告書の提出が必要になります。これらは年に1回必ず報告が義務付けされているものになります。事業実績報告書は前年4月1日から3月31日までの期間に係るものを7月10日までに、事業報告書は毎事業年度の経過後100日以内に提出する必要があります。
事業実績報告書とは1年間の延実在車両数、延実働車両数、走行距離、実車キロ、輸送トン数、営業収入などを記録して提出します。
基本となるのは運転日報です。運転日報に記載した走行距離などを合計して作成するからです。事業実績報告書の書き方についてはこちらの記事をご覧ください
事業報告書とは1年間の運送収入、営業費用、人件費明細表などを記載して提出します。
どちらも提出しないと罰則や新しい事業計画の変更ができない場合があります。
運賃及び料金・運送約款等の掲示
次に掲示義務があるものです。運賃及び料金や運送約款、その他国土交通省令で定める事項は主たる事務所その他の営業所において公衆に見やすいように掲示しなければなりません。また掲示まで求められておりませんが、一般貨物自動車運送事業者は運行管理規程、整備管理規程、安全管理規程(車両数が200両以上)などを定める必要があります。
運送約款、運行管理規定、安全管理規定についてはこちらの記事もご覧ください。
運転日報や点呼記録簿などの記録
最後に帳簿類の説明になります。運送事業は運転日報、点呼記録簿、日常点検表、運行指示書、事故記録簿、従業員に対する指導及び監督の記録、運転者台帳等の帳簿類を営業所などに備えつけなければなりません。またこれらの書類は記録だけなく保管が義務付けられているものも多くあります。
帳簿類の名称 | 保管期間 |
点呼の記録 | 1年間 |
乗務等(運行記録計)の記録 | 1年間 |
運行指示書及びその写し | 1年間 |
事故の記録 | 3年間 |
運転者台帳 | 3年間 |
従業員に対する指導及び監督の記録 | 3年間 |
運送事業は定期的に巡回指導や監査がありますが、このような帳簿類をきちんと記録・保管していないと思わぬペナルティーを受ける可能性があります。
特に運転日報、点呼記録簿、日常点検表は車両が稼働する度に記録しなければなりません。
運転日報などの記録・管理する方法・注意点についてはこちらをご覧ください。