一般貨物の営業所の要件とは

このページでは一般貨物自動車運送事業新規許可の「営業所」の要件について説明しております。

新規許可の要件

一般貨物自動車運送事業の新規許可については「新規許可等の審査基準」というものが公表されております。また審査基準の内容を補足しているものとして「新規許可等の審査基準の細部取扱い」というものも公表されております。

一般貨物の新規許可を申請するにあたってはこの2つの審査基準をよく熟読したうえで申請することをお勧めいたします。

このサイトの許可要件のページでは、要件ごとにこの2つの審査基準を引用しており、補足として当事務所が今まで培ったノウハウを説明しております。

ただし、許可要件の中でも細部の取り扱いに関しては変更される可能性もあります。
過去に認められていたことが今後も認められる保証はありません。
また、運輸局によって取扱いが異なる場合もありますのでご注意ください。

一般貨物自動車運送事業新規許可の「営業所」の要件について動画でも説明しております。

営業所の審査基準

【新規許可等の審査基準】

(1) 使用権原を有することの裏付けがあること。
(2) 農地法 (昭和27年法律第229号) 、都市計画法 (昭和43年法律第10 0号)、建築基準法 (昭和25年法律第201号)等関係法令に抵触しないものであること。
(3) 規模が適切であること。
(4) 必要な備品を備えているなど、事業遂行上適切なものであること。

一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について

【新規許可等の審査基準の細部取扱い】

(1)について 
① 自己所有の場合は登記簿謄本等、借入れの場合は概ね契約期間が2年以上の賃貸借契約書等の写しの添付をもって、使用権原を有することの裏付けがあるものとする。
賃貸借の契約期間が2年に満たない場合は、 契約期間満了時に自動的に更新される場合に限り使用権原を有することの裏付けがあるものとする。
② 借入れの場合の登記簿謄本及び建物所有者の印鑑証明書等については、 添付又は提示は不要とする。

(2)について
① 都市計画法に抵触しないことの確認については、原則として、申請書を受理した運輸支局において関係都県等の開発部局に照会することとする。
② 農地法、建築基準法等関係法令については、建築確認通知書、農地転用届出書等の添付は不要とし、当該法令に抵触しない旨の宣誓書の添付を求めることとする。

(4)について
 ① 営業所に必要な備品等が備えられていることが確認できる写真の添付をもって、営業所として適切なものであることを確認することとする。
 ② 申請時において当該備品等が用意できていない等特段の事情がある場合は、事後的に、必要な備品等が備えられていることが確認できる写真の提出を求めることとする。

「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について」の細部取扱について

(1) 使用権原を有することの裏付けがあること

解説

営業所は使用権原が認められないと許可されません。
当たり前ですが他人の家を勝手に営業所にすることはできません。営業所は自分で所有しているか、借りなければなりません。
そして、使用権原を証明するためには、自己所有の場合は登記事項証明書、借入れの場合は賃貸借契約書等が必要になります。

営業所については営業所が運送業の営業所として継続的に使用できるのかどうかが審査のポイントとなります。
そのため契約期間は概ね2年以上必要だとされているので契約を交わすときは注意が必要になります。

また(2)でも説明しますが、営業所は適切な場所や建物でなくてはならないという決まりがあります。
そのため、使用目的についても注意が必要です。使用目的が「住居」などでは原則営業所として認められない可能性があるということです。

その他にも、営業所の面積や賃料なども審査対象になります。
なぜなら面積については、求積図、賃料については資金計画と関係してくるためです。
そのため書類を作成するにあたっては書類同士の整合性がとれるように意識しなければなりません。

当事務所の経験でいうと、運輸局は賃貸借契約書についてはかなり細かく見て審査していると感じております。
そのため申請する前にご自身でも契約書をよく読んで不備がないか確認したほうがよろしいかと思います。

また、もし気になる点があれば契約書の記載事項について変更できるかどうか事前に確認したほうがいいケースもあります。
一般貨物の新規許可申請では審査過程で貸主(所有者)からの使用承諾をもらうように求められることが多いので、貸主や仲介業者が協力的であるかなども重要な要素になります。

(2) 農地法 (昭和27年法律第229号) 、都市計画法 (昭和43年法律第100号)、建築基準法 (昭和25年法律第201号)等関係法令に抵触しないものであること。

解説

営業所が農地法、都市計画法、建築基準法などの関係法令に抵触しないことが要件に定められております。

この要件は新規許可申請をするうえで、最も解釈が難しい部分の一つかと思います。何が難しいのかというとこれらの法律は原則と例外がたくさんあり、基本的には営業所ごとに調査する必要があるからです。

一般論を簡単に説明すると営業所が適切な場所に建てられた適切な建物であるのかどうかが審査のポイントとなります。

日本には都市計画法等で建物が建てられない地域というものが存在します。
建物が建てられないということは当然営業所として使用することは認められておりません。

また、建物の建築が認められている地域でも建築基準法に違反するような建物は営業所として認められておりません。

このように運送業の許可を取るには、貨物自動車運送事業法などの運送業の根拠法だけではなく関係法令などの知識も必要になってくるわけです。

(3) 規模が適切であること。

解説

営業所の規模が適切でなければならないとされております。
規模というのは面積要件なのかと思いきや、面積要件などは特にありません。

一見、簡単そうに思いますが、審査する側から「規模が適切ではない」と判断されれば、それまでなので、かなり審査する側に都合のよい部分かと思います。

当事務所の経験としては規模が不適切だという指摘を今まで受けたことはありませんが、仮に指摘を受けたら審査が途中で止まってしまい、審査日数が余計にかかるおそれがある点に注意が必要です。

(4) 必要な備品を備えているなど、事業遂行上適切なものであること。

解説

営業所には業務を遂行するうえで必要な備品などを揃えつけなければなりません。
新規許可申請の際はこれらの備品を写真に撮って申請書に添付したりいたします。

備品の例としては、机やイス、PC、電話、書庫、コピー機、アルコール検知器などがあげられます。

ただし、当事務所の経験では(3)と同様にそこまでうるさく言われる個所ではないかと思います。
むしろ、許可後の巡回指導や監査の際に細かく言われるところかと思います。

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